2023年1月23日
株式会社コードタクト
ICTによるコミュニケーション手段の多様化により、内気な児童が活発化
授業支援クラウド「スクールタクト」の行動ログを用いた実証実験の成果をもとに、
ICT活用でもたらさせる学級経営への効果を発表。
教育心理学年報に掲載されました。
株式会社コードタクト(本社:東京都渋谷区、代表取締役:後藤 正樹、以下「当社」)の代表取締役後藤正樹は、ICTを活用した学級経営への新たな手法と分析を行い、その成果を教育心理学年報に掲載の学会レポート「withコロナ時代における子どもたちの資質・能力を育成する協働学習の工夫―教科指導と生徒指導を統合するチーム学校の教育実践―」の一部となる「ICTを活用した協働学習」にて発表しました。
スクールタクトについて
学会レポート について
本学会レポートはコロナ禍の学校教育において、感染症対策とICTの積極的な利用、活用、そして協働学習をどう展開していくのかを考えることを目的に、複数の先進的な実践や報告をまとめたものです。
本レポートの一部として後藤が執筆した「ICTを活用した協働学習」では、当社とNTTコミュニケーションズ株式会社が合同で行った実証実験を通じて把握したICTの活用によるコミュニケーション手段の多様化がもたらす学級経営への効果をまとめています。
実証研究は学校のの朝会で児童生徒がスクールタクトを使い行う「朝ノート」の活動を対象に行いました。
朝ノートの活動におけるスクールタクトの行動ログを分析し、学級内の人間関係のつながりをコミュニティグラフとして可視化させると共に、学級状態に関する教員の感覚との比較や、学級満足度を測定する質問紙との相関性の検証などを行いました。
本研究を通じ「書くという間接的なコミュニケーション」により、普段コミュニケーションの中心にならない内気な児童が活発化すること(図1)や、コメントを貰うことが多い児童は承認感が高い傾向にあることなどがわかりました。
「ICTを活用した協働学習」では、これらの研究成果を公開しています。
「朝ノート」とは
学級内の親密な人間関係作りを後押しすることを目的に、朝の会で児童生徒がスクールタクト上に自身の体調や興味関心などを書き込み、学級内で相互に閲覧、コメントなどをし合う活動です。
当社では、代表取締役の後藤をはじめ、教育工学や教育心理学の研究をするメンバーによる教育総研を組織し、ビジョンである「個の力をみんなで高め合う学びの場」創り出すための理論的・実践的研究を行っています。
今後も本研究を発展させ、学校現場の先生と児童生徒の学びを支えるサービスの創出に努めていきます。また、当社教育総研ブログでは、本研究をはじめとする活動の実績も公開しています。
■「ICT を活用した協働学習」について
多様性を前提とする学級経営において、これまでの授業では交流場面において「話す」という直接的コミュニケーションに偏り、様々な生徒が抱える困難さへの合理的配慮が十分ではなかったとも考えられます。
コロナ禍の休校や感染拡大防止措置などで、学校現場における協働学習などの対話的な学びの機会が減少しました。一方で、ICTによる授業支援システムの導入で、オンライン上でのワークシートの配布や共有が可能になったことにより、口頭でのコミュニケーションに加え、文章でのコミュニケーションも活用されるようになりました。このことは、ソーシャルディスタンスへの対応以上の、学級経営上の意義があるのではないでしょうか。
本レポートは上記の視点に基づき、授業支援システム「スクールタクト」の行動ログを活用したネットワーク分析など複数の実証研究の成果から、ICTの活用により実現するコミュニケーション手段の多様化がもたらす学級経営への効果を示しています。
■レポート概要
掲載媒体:教育心理学年報(2022年61巻)
発行:日本教育心理学会
タイトル:withコロナ時代における子どもたちの資質・能力を育成する協働学習の工夫
―教科指導と生徒指導を統合するチーム学校の教育実践―
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